「プールサイド小景・静物」庄野潤三

 大金を使い込み、突然会社をクビになった夫。妻が問いただすと、つらい勤めの苦痛や不安を癒すため毎晩のようにバーに通いつめていたという。
平凡な中年サラリーマンの家庭に生じた愛の亀裂……日常生活のスケッチを通し、小市民のささやかな幸福がいかに脆く崩れやすいものかを描いた芥川賞受賞作「プールサイド小景」、家庭の風景を陰影ある描写で綴った名作「静物」など全7編を収録。

私の家庭は夫婦共働きである。
妻は正社員として働いているが、家事育児にもウエイトを置いて働いているため、残業が出来なかったり、家に帰ってもやることがいっぱいだったり、いろいろ大変だろうと思っている。
私自身は勤めの性格上どうしても残業が多くなり勝ちで、疲れも溜まるし、ゆっくり家に居られるも余りなく、”つらい勤めの苦痛や不安”というものが発生しないわけではないだろう。
が、自分より妻の方が大変でストレスも抱えていることを思えば、苦痛を癒すなんてことを考えたりすることは出来ない。
寧ろ、もっと仕事を効率化して、家事育児に手を出すことが出来ないかと考えたり悩んだりする。

この小説が売れた時代には、男性社会の一方的な主張として”つらい勤めの苦痛や不安を癒す”ためにバー通いなんかしたかも知れないが、今家庭を持った男性諸氏が悩みに思うことは、この小説に現れているようなこととは、またちょっと違ってきているのではないか。

プールサイド小景・静物 (新潮文庫)

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