「マリモ 酒漬けOL物語」山崎マキコ

食品会社のOL大山田マリモは時々記憶を失う。つい酒でウサを晴らし、飲み過ぎてしまうからだ。立派な人になろうと思って、商品企画もがんばっているのに。気がつけば上司に見てられダメOLの仲間入り。ああ先生、私の居場所はどこにあるんでしょう…。高校時代の恩師、奈良原先生の言葉だけが心の支えである。いつも一所懸命だけどへこみやすく純情な、酒漬けOLマリモの「魂の物語」。

死語と思われるが“オヤジギャル”ブームから始まり、女性がタブー視されていた物事を平気でやることで、開放されていくという流れがある。
古来から女性というだけで様々な意味もない制限が課せられることが多く、それを乗り越えることは特に歓迎するべきことだと思う。
但し、それを女性らしい美しさを損なうような振る舞いをすることと履き違えている向きも多々あり、大変残念に思うこともある。

本書タイトルを見た印象は、上記のとおり。OLだって仕事の憂さをお酒で発散してもいいという思いと、その結果ぐだぐだぐずぐずの生活になるのではよくないという思いであった。

しかし実際にこの本を読んでいくと、そんな類の話ではなく、自分の居場所を探して真剣に悩んでいる女性の話であった。
特に想い出に出てくる先生がとても素敵な印象で、最後に病床の先生に会いに行くのだけれど、そこで先生の言った以下の言葉がとてもいい言葉だと思った。

「そう--僕の価値は、ずっと変わらないんです。僕が精力的に活動できようが、あるいはこうしてただベッドの上に横たわる人間になろうが。人間は神ではない。だから誰も、自分自身でさえも、自分自身の価値を決めることはできないのですよ。僕は--僕が努力したり、人からの賞賛を集めたりすることで、自分自身の価値を上げたり下げたりできると信じていた。--傲慢だったのです。……」

マリモ―酒漬けOL物語 (新潮文庫)

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