- February 23, 2009
- Category: BOOK
「聞書抄」谷崎潤一郎
落魄した石田三成の娘の前にあらわれた盲目の法師。彼が語りはじめたのは、「殺生関白」と仇名された秀吉の甥、秀次の行状―きらびやかで残虐なこの世の地獄絵巻であった。菅楯彦による連載時の挿画七十三葉を完全収載。表題作のほか奇譚三篇を収録。
石田三成が処刑された跡を訪れた娘とその乳母に謎の盲目の法師が語ったのは、三成の事ではなくて豊臣秀次の話だった。
豊臣秀次という人は、「殺生関白」と言われるほど行状が悪かったために秀吉から罰を受け一族(女子供全て)を処刑されることとなった。
安土桃山時代の文化風習をよく知るわけではないが、養子とはいえもともと自分の血族にあたる人間に対して一族皆殺しとするのは、かなり行き過ぎの感がある。
そもそも、「殺生関白」という話にして秀吉側の文書に書かれている話であり、寧ろ、“秀次=「殺生関白」”という点を疑って掛かった方が良いように思われる。
秀次の行状が悪かったための処罰云々と言うのであれば、秀次以外の一族には余り責任はない。
つまり秀吉は生まれたばかりの実子秀頼のため、養子秀次が邪魔になってしまった……というのが事の全てであろうし、それゆえに一族(女子供全て)を処刑する必要があったのだと思える。
しかし、父を無くしたばかりの幼い娘に対して、秀次処罰の物語をする盲目の法師の我利我利振りが強引なのと、刺身のツマ程度の価値しかない内容の解説で本編よりも目立とうとする千葉教授の姿が戴けないな、と思わされる。


もみお(♂)



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