- April 6, 2008
- Category: BOOK
「海猫」谷村志穂
女は、冬の峠を越えて嫁いできた。華やかな函館から、昆布漁を営む南茅部へ。白雪のような美しさゆえ、周囲から孤立して生きてきた、薫。夫の邦一に身も心も包まれ、彼女は漁村に馴染んでゆく。だが、移ろう時の中で、荒ぶる夫とは対照的な義弟広次の、まっすぐな気持に惹かれてゆくのだった―。風雪に逆らうかのように、人びとは恋の炎にその身を焦がす。島清恋愛文学賞受賞作。
北海道を旅行した事がある。
私が行ったのは知床の方で、函館や札幌の方とはまた風景や風土が違うところだと思うけれど、羅臼まで足を運んだ時に見た、昆布を天日に干している風景が、この物語の昆布漁をしている漁村の風景に重ね合わせて思い出された。
また、子供が生まれて育児真っ最中なこともあり、美輝や美哉が生まれた情景やその子供と一緒に居られなかった人々の悲しい思いが切々と伝わってきて、胸が詰まった。
こうした、実際に自分で見たり体験したりしたものと、読んでいる本の情景が重なり、物語を読むことが立体的に味わえるということは、とても得がたい、そして素晴らしいことなんだと、今更ながら思った。
谷村志穂という人もこの本で初めて知った作家。
多分、まだ若い作家なのだろうけれど、何十年も小説を書いてきた人のように、物語が厚く感じられた。
この他の作品も色々と読んでみたいと思った。



もみお(♂)


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